放課後、一人で下駄箱にいると、横から誰かが抱き着いてきた。
「飯田♪」
「山口かよ」
「なに? 彼女と間違えた〜?」
「桃嘉はこんな事しない」
「…あっそ!」
山口恵美。
一年の時、一緒に文化祭委員だったりした。
「ねぇ、一緒に帰ろ!」
「あんま彼女不安にさせたくないから、ごめんな」
「…」
「じゃあな」
山口に抱き着かれた時、
桃嘉じゃないって確信はあった。
だけど…
どこか、心の中で期待してた。
ギュッと抱き着いてきて、
そっと…
いつもみたいに優しく微笑むんだ。
そんで、いつもみたいにキスして。
…かなり重症だな、俺。

