「ま、待ってたの…?」
「一人じゃ危ないだろ」
「ぁ、えっと…」
チラッと俺の方を見る。
…ほんと、敵わない。
なんで…いるんだよ。
なんで、帰ってねぇんだよ。
こういう時、自分がすごい虚しくなる。
「き、清本…その」
「いいよ。彼氏に送ってもらえ」
「ご、ごめんね? せっかく…」
「いいって。じゃあ、また明日な」
「うん…」
申し訳なさそうな顔をしてる桃嘉の横を通り、靴へと履き替える。
履き終わると、桃嘉が俺を呼んだ。
「清本!」
「?」
「今日、ありがと!」
優しく微笑む桃嘉。
そんな笑顔…今、見せんな。
彼氏がいるってわかってんのに、
まだ…好きだって思ってしまう。

