「まずこのソフトを使って、んでこの表と全く同じやつを作る」
「う、うん」
「コピーは一枚な。それをまた印刷機でコピーするから」
隣でキーボードをゆっくりと押している岸本。
「ぁ、そこは数字」
「ぁ」
時間かかりそうだな…。
慣れていない所為か、必死にキーボードを人差し指でうっていく岸本を見て、
俺は思わず笑った。
「? 清本?」
「なんでもないっ」
可愛い──
友達から、『あの子が可愛い』とか言われても、いまいちピンとこなくて。
だから、女を好きになった事はなかった。
でも、あんま話した事もない女から告白されたこともあって。
けど、今…思う。
岸本…桃嘉は、
可愛い。

