蓮は「はぁ」とため息をつき、握っていた手をギュッと強く握る。

「?」

「無自覚女」

「へ??」

「ほら、ついた」

「ぁ、ちょ…」

ここって…

着いた場所は、初めて来た駅。

…なにも、ないんですが。


「れ、れん…?」

「こっち」

蓮について行くと、そこはバス停。

ちょうどバスが来て、蓮は整理券を二枚とって空いていた席に座り、
あたしを隣に座らせる。

「はい、整理券」

「ぁ、ありがと…」

あたしは整理券を鞄へとしまった。

「ここから20分ぐらいかかるから、寝てもいいぜ?」

「れ、蓮は…?」

「俺は桃嘉の寝顔でも見て楽しんでる」

「…それ、あたしがすごい恥ずかしい」

「目にキスしてやるけど?」

「や、やっぱ起きてたんじゃんっ!!///」


そんな言い合いをしながらも、ククッと笑う蓮を見て、
どこか安心する自分がいた。


そして、眠気に襲われる。