桃嘉と手をつなぎながら、いつもの帰り道を歩く。
「蓮、蓮は塾とか行く?」
「は?」
「奈津子ちゃんがね、塾行ってるから受験勉強は学校ではしないーって」
「行かねぇよ。
今更行っても、意味ないじゃん」
「そっか!」
嬉しそうに笑う桃嘉。
塾…ね。
行く訳がない。
だって…
これ以上桃嘉と二人きりの時間が減るのは、ごめんだから。
「ねぇ、あれ…奈津子ちゃん、じゃない…?」
「ん?」
通りかかる公園に、確かにナツが立っている。
だけど…
ナツだけじゃない。
ずっと、ナツより背が高くて、
年上の男が、ナツの前に立っている。
誰だ、あれ…。
小さい時からナツの一緒にいたけど…
あんな奴、見たことないし。
ジッと見てると、その男がナツにキスをした。

