【完】無愛想彼氏2~キミノ隣で~





「れーいっ♪
あのね、あのね!! さっきさぁ、山内がさぁ、階段でこけてた〜」

「なにそれっ!」


桃嘉は、いつも笑顔で話を振ってくる。


小学校の頃から、人見知りのあたしは、あまり仲のいい子がいなかった。

でも…人見知りだけが理由じゃない。

あたしの家は、なにかと転勤が多くて、クラスに打ち解ける時間がない。


だから、中学で…こんなに仲良くなれる友達ができるなんて、思いもしなかった。



「ってかさぁ…もうすぐテストって…早いよー」

「大丈夫でしょ。その分、範囲狭いじゃん」

「怜は頭がいいから言えるんだよっ!!」



でも…桃嘉と仲良くなって、一瞬で…怖くなったんだ。


また…どこか、遠くへ行くことを。



だって、せっかく桃嘉と仲良くなれたのに。


ずっと、


”友達”でいたいと、




強く願っていた。