あなた色に染まりたい

鳴海くんは確かにしつこいけど、そんなに悪い人には見えなかった。


そういう外見や態度に騙されるところだったんだ。


そう思ったら急に怖くなって、身震いがした。




「紗羽?」


「なんか、怖くなってきちゃった。」




蓮の背中に腕を回して、ギュッとしがみついた。




「大丈夫だ。ぜってぇに、俺が守る。」




そう言って、ギュッと抱き締め返してくれた。






それから10分が過ぎた頃、晴希がやってきた。




「何だよ、大事な話って。」




美香と悟が晴希に話しているのを、あたしは蓮の手をギュッと握りながら、黙って見ていた。




「鳴海の奴、今度は紗羽に目ぇつけたのかよ。」




晴希も鳴海くんのことを知っているようで、話は早かったみたい。




「紗羽、アパートの場所は知られてねぇよな?」




晴希が聞いてくるけど……


そんなの…




「わかんない。」