パタン、と、俺は本を静かに閉じ、冷たいアスファルトの上へと置いた。
湿った空気、光が一切届かない、食料も少ししか与えられず、窓もない…そんな牢獄みたいな…じゃなくて、牢獄の一室で俺は一人、小さくなる。
先日、俺に刑が下された。
『天界追放』というものだ。
殺されないだけましなのかもしれないと思ってしまった、能天気で可哀想な俺の脳ミソ。
というか、罪の内容を聞かされていない。
別に俺が盗みをやらかしてしまった訳でもなければ、誰かを殺してしまった訳でもないし誘拐したわけでもない。
しかも俺にそんな趣味はない。
あるなら魔界のヒューマンパーツをコレクションしているイカれた奴らくらいだろう。
それなのに、何故?
何故俺は罪を被せられているんだ?
最近、特別な何かをした覚えはない。
むしろ、リストに載ってる人間を俺なりに精一杯幸せにしてあげたし、笑顔にしてあげた。
人間の笑顔が、両親祖父母のいない俺の生き甲斐みたいなものなのに。
世界の理を侵すようなこともしていない。
何で?

