異世界転入生

「わぁ!!ヤッタ!僕にも出来た!!」

ピョンピョン跳ねて喜ぶユウ
自分で魔法らしい魔法を使った初めての瞬間
きっとこの喜びは、子どもが初めて立った時の親の喜び並だろう
少しすると、落ち着いてきた

「あ、向こうに行かないと!」

ピョンとジャンプをして扉を通る
トンッと地面に着地し、周りを見る

「ここがCの空間…」

Cの空間には、10人ほどの生徒がいた
皆そろって、あちこちに杖を向けている

(みんな何やってるんだろう?)

ユウが首を傾げていると…

「ユウ!!会いたかったー!!」
「うわッ!?」

後ろから、ライナの突撃
何とか踏ん張り、倒れるのをこらえるユウ

「ほら、開けれたでしょ?」
「あ、リュウ!うん、僕も開けれたよ!」

ライナの砲撃をやり過ごし、ホッとすると後ろから声がかかる
リュウに嬉しそうに、ドアが開けれた事を話し、ライナに声をかける

「ライナ、ココの課題って何なの??」

ライナは体勢を立て直し、嬉しそうに口を開く

「ココの課題はね~、隠し扉を探すことよ!」
「へぇ~…それより、ライナ…そろそろユウから離れたほうが良いと思うよ
お前、体勢変えた時に回した腕がユウの首絞めてるから」
「え!?!」

ライナがユウを見ると、リュウの言う通り苦しそうにもがいている

「わわ、ゴメン!まさか首絞めてるなんて」
「ケホケホッ…い、良いよ…次から気をつけてくれれば…」

ユウの言葉に、ライナはコクコクと頷く

「ふぅ…見えない扉を探すには、どうしたら良いの?」
「それは杖をかざすと分かるらしいよ!」

呼吸が落ち着いたユウが尋ねると、ライナは得意げに答える
そして、早速杖を出してあちこち向けてみる

「あ、ココ!」

ライナが声にリュウとユウはライナの杖に視線を向ける
杖は小刻みに震えているようだった

「隠し扉を見つけると、杖が震えるんだ!
じゃ、先に行くね!開け!」

ライナがそう言うと、何も無かったところに扉が現れてギギギギッと音をたてながら開いた
そして、ライナは手を振り扉に入った
ライナが入ると、扉はスッと消えてしまった

「ほへぇ~~」
「まったく…また他人事みたいに感心して…
感心してる場合じゃないよ…ほら」

リュウが周りを見るように目配せをする
ユウが周りを見ると、先ほどまで10人くらいいたのに、もう数人しか残っていない