彼は、そう言うと校舎の中へ消えて行った。 足音が段々小さくなっていく校舎を見つめながら、青野ミツルって人は、高見翔のこと、大好きなんだな。 だから、心配して私に聞いてきて。 そういう性格、嫌いじゃない。 そんなことを思っていた時、もうすぐ春が来ることを知らせるような、暖かい強い南風が吹いた。