彼の声が聞こえたのか、高見翔がこちらを向いたのが分かった。 一瞬、空中で視線が絡んだような気がした。 彼は、こくりと深く頷いた後、大空を見上げて目を閉じた。 それは、まるで空と何か話しているみたいで、周りの音も何も、聞こえない、無の場所にいるみたいに感じた。 目を開けた高見翔は、強い眼差しで1m90cmの高さのバーを見据えた。 その眼差しは、まるで、獲物を捕らえる野獣のよう。 “絶対に跳ぶ” そんな声が聞こえてきそう。