「何、笑ってんだよ」

「べっ、別に」


思い出し笑いしてたところを見られていたなんて、すごく恥ずかしいんですけど。


誤魔化すように、下書きの続きにとりかかろうとしたら、


「アイツに、惚れたか?」

「はぁ!?」


あり得ない言葉にびっくりして手に力が入り、シャーペンの芯がポキッと折れた。


「何、動揺してんだよ」


いつもなら、冗談言っていると分かるような、悪戯っぽい笑みを見せて言うのに今日は、無表情だから、この人が何を考えているのかさっぱり分からない。


「動揺なんてしてませんし!それに、」

「それに?」

「惚れてなんて、な……い」


じわじわと、彼の顔が近づいてきているのが分かる。

な、なんで顔を近付けてくるかな。

こっちの方が、ドキドキ動揺してしまうんですけど!