蒼が力を使おうと少し手を動かすと、そらに王女の腕は美津子の首に食い込んだ。


「指輪使いも下手な真似するとこの子がどうなるか分からないよ!」

「そ、そんな…」


そのまま王女は美津子を腕に抱えて後ずさりし、扉を挟んでリョウに声をかけた。


「リョウ、ここはひとまず逃げるわよ。行くわよ。さあ!」

リョウは無言でゆっくり王女の元へ進む。

「リョウ、あんた、裏切るにゃ?」

立ち尽くす千鶴がリョウに罵声を浴びせる。


それでもリョウは無表情で王女のすぐ横にまで近寄り、持っていた鋼の剣を足元に投げ捨てた。