ブラックホールのように果てしない闇のトンネルがあんぐりと口を開ける。

「ひっ…引っ張られる!」

蒼は必死に逃げるためにしゃがみこむが、穴は蒼を吸い込むためにさらに大きくなっていく。

周りもその気流に飲み込まれそうになるのを堪えるのに躍起になる。


「もう…ダメっ!!」


美津子が叫んだ拍子に、顔を上げた蒼がつい気を抜いた。



その瞬間、掃除機に吸い込まれるように、あっさりと蒼は穴に消えていった。


蒼を飲み込んだ黒煙は、野球ボールくらいの小さな黒い球になった。


「あおが閉じ込められた!」

「あおーっ!」