しかし、怒りの気持ち以外の何かが、心に引っかかる。 (心が温かくなるにゃんて…そんな風に言われたこと…) リョウの言葉が何度も千鶴の頭の中に繰り返される。 (何? 胸が熱いにゃ…そうだ…あいつが覗こうとしたからにゃ!) いつもは男子に対して壁を作っている千鶴が、無防備に近づかれて。 千鶴は初めての気持ちに、戸惑うしかなかった。 「やっぱり…そっくりだわ」 美津子は自分の部屋に戻って漫画を読み返していた。