「あお…!」 先ほど屋上で聞こえた声の主が、蒼の目の前に現れた。 「ちづ…みっつん…」 もう二人に力のことがバレているだろうことは、蒼は感じていた。 「ずぶ濡れじゃない…制服もボロボロ…」 「私ら見ちゃったにゃ…ねえ…何か話したいことがあるんじゃにゃい?」 そう。 蒼は、今日、二人に力のことを相談したいと思っていたのだ。 「さ、とにかく…風邪ひいちゃうよ?」 美津子がピンクと白の水玉柄の傘を、蒼の前に差し出した。