「「あっ」」


わたしと彼の声が重なる。


それはいつものことであって、声を重ねないことなどない。


「「またお前か」」


こんなところでもシンクロしてしまうなんて。


彼は中学生からずっと同じクラスの宮川拓郎(ミヤガワタクロウ)


高校二年の現在もわたしと同じクラスだ。


そして、同じクラスになるたび拓郎とは隣の席だった。


もうお互いのことを良く知っていて、何でも話せる仲にまでなっていた。


初めて隣の席になったときは全く話なんてしなかった気がする。


「お前俺のこと好きだなー、神様にお願いしたのか?」


なんて拓郎はおちゃらけて笑うけれど、冷めきっているわたしは相変わらずいつものようにスルーした。