USBにデータを落とし、戸締りをして会社を出る。
出る際には藤代さんに電話しろと言われていたので、
≪もしもし?≫
「あっ、成瀬です」
≪あら、今日は高柳と一緒にディナーじゃなかったの?≫
「そうなんですけど、明日の資料が終わらなくて…」
≪えっ、嘘…!ごめんなさいね!?今から行こうか?≫
「あっ、いえ!皇が手伝ってくれるって言ってくれたので…」
≪あら…まあ、高柳に申し訳ないわね≫
「じゃあ、退社させていただくのでその連絡を」
≪はい、了解。じゃあ楽しんで来てね?≫
「はい、ありがとうございます。藤代さんも」
電話を切って、鞄を持って社から出た。
…いや、正確には出ようとした。
急いでいるときに限って、こうなるのよ。
それが運命なのだ。