空耳だと思った。 空耳かと、思いたかった。 私は後ろを振り向く。 すると、 ―――そこには、今まで会いたかった愛おしい人。 ――――なぜ。 ――――どうして。 あなたがここにいるの。 「…っ、なんで…」 自分の目を、疑った。 これは、現実なのか。 それとも、幻覚なのか。 どちらにせよ、私は彼に会う資格など――――ない。 「…っ」