あの会社に就職すると決めたのは、買おうとして居た家から近く、私を必要としてくれたから。 学歴だけはきっと社内の誰にも負けない自身はその頃からあったし、何よりあの会社は実力次第で昇格すると言うことが有名で、それが気に入ったから。 実力を伸ばすにはもってこいの会社だと思った。 それが、こんなにも愛着を持つだなんて、入社当時は思わなかったな。 ふと顔を上げると、スーツを身に纏う、よく見知った顔があった。 「竜也!」