ふわりと、コーヒーの香りが鼻に抜ける。ミルクと砂糖の甘味で、やっと頭が働きそうだ。 もともと、朝食をとる習慣のない由紀子の朝食がわり。 残りはふたをして、会社に持っていく。 節約、というわけではなく、会社のミルクと砂糖をどっさり使ってしまうのがなんだか忍びなかっただけだ。 由紀子は、ため息をつく。 身体にコーヒーの温もりが染み渡っていくようだ。 タンブラーのふたをキュッと閉めて、由紀子は歯を磨くために洗面所に向かった。