その後、結城くんと一緒に登校をしていつも通りの時間を過ごした。

結城くんが会うと言っていた『ナギ先輩』が凪兄かどうかは確かめることはできなかったけれど。


今は放課後。

私は、授業で使った資料を片付けに来ていた。

こういう仕事も学級委員の仕事らしい。


(それにしても……これ重いっ!!)

仕事はたくさんあったからみんなで分担したんだけど…。

(やっぱり…これを1人で運ぶのは無理があったかも)


資料が束であるせいで前がよく見えない。


(こうなったら、とにかく早く仕事を終わらせた方がいいよね!)


…って思ったんだけど。

「……ここどこ?」

私……。

もしかしなくても迷った!?
すっかり忘れてた。

私って、方向音痴なんだった。


「どうしよ……」

私がそう言った時だった。
「……何してんの?」

「あ、結城くん!」

結城くんは私が手に持っている資料の束を見ると、ひょいっと片手で持ち上げた。


「え?結城くん…」

「まだ終わってなかったのかよ…。しかもここA棟だし。資料室はB棟」

「えっ!? 私、B棟に行くつもりだったのに…。アハ、間違えちゃったみたい…」
「……普通、間違えるか?A棟とB棟じゃ全くの逆方向だし…」

「うっ……」


(痛いとこをつかないでよ! 私だって、自分がそうとうな方向音痴なのは自覚してるんだから……)


結城くんは少し間を置いてから

「B棟、オレも仕事あるから一緒に行くよ。…ついでに資料も持っていってやる」

と、ボソッと小さな声でそう言った。


私は結城くんの後ろ姿を追いながら資料室へ向かった。



結城くんって…優しいんだか、イジワルなんだかよく分かんないなぁ…。