遠恋~君と恋をした日々~

あの後、結局家に帰った


ずっとお兄ちゃんの部屋に居た


お兄ちゃんは、母と父に2人暮らしすることを話していた


ときどき父の怒鳴り声が聞こえた


途中まで聞いていたけど、聞くのがいやになってあたしは耳をふさいだ


布団を頭までかぶって、お気に入りのぬいぐるみを抱きしめていた


・・・早く帰ってきて。お兄ちゃん


扉を見つめて言うと、扉が開いた


「きゃぁっ!」


恐怖感を抑えられなくて、とっさに叫んでしまった


「咲希、私よ」
「・・・ママ?」


ママがあたしのすぐそばまでやってきた


「ごめんなさいね。今まで辛い思いばかりしてきたよね」
「ママ・・・どうしたの?」
「本当は、あたしより咲希と祐希のほうがつらかったはずなのに。あたしは逃げてばかりだった。咲希と祐希が家を出ていく時、あたしも一緒に出ていこうと思ってたの」


ママだって・・・苦しんでた?