遠恋~君と恋をした日々~

顔を横に振るふると振って、お兄ちゃんの顔を見つめた


「どーした?」


お兄ちゃんは、事情を知らない


あたしはそっと服の袖をまくりあげて腕を見せた


あたしの腕を見たお兄ちゃんの表情が一変した


今まで見ていた表情とは違い、怯えるような顔


「咲希・・・もう駄目だ、俺これから家に帰ってくるのも遅くなると思うんだ。夜だって何時休刊が入るか分からない」


お兄ちゃんの言ってることが、なんとなくわかった


でも、あたしはお兄ちゃんの眼をずっと見つめていた


「だから、俺と2人暮らしをしよう。これ以上、咲希が傷つくの見てられない。怯えてるお前を見るのがつらいんだ・・・っ!」


悔しそうに悲しそうにお兄ちゃんはあたしの手を握った


「うん。お兄ちゃんとならどこでも行くよ。お兄ちゃんは唯一あたしの家族だから・・・」


お兄ちゃんがいるなら、どこでも行く


たとえこの街を出ようとしても


あたしはお兄ちゃんについていく


「ありがとう、咲希」