遠恋~君と恋をした日々~

「咲希!」
「やだっ!離してよぉ」


桐谷君の怖い顔は・・・これで何回目だろうか


この顔に、いつもいつも脅されていたんだっけ


腐れ縁なんてきれいな言葉では片づけられないあたし達の関係


綺麗な思いでなんて・・・一つもない


「もう・・っその顔にだまされないんだから」
「はぁ?何言ってんだよ」


もう、あんたのいいなりになんかならないんだから


あたしだって、成長したんだから


「いいの?あの子とみんなにばらすぞ?」
「遊ぶってこのことだったんだね」
「だからなに?」
「そんないろんな女と寝て楽しい?」
「楽しいからやってんだろ?」



へらへらした顔で笑いやがって


あんたのその顔が嫌いだったの


本当は今日だって分かってた


あの時の桐谷君の微笑みに、違和感を感じていた


ただ遊ぶだけならいい。それだけならいい


でも・・・そんな願いは叶わないんだ


あたしはいつまで彼のそばにいなきゃいけないの?