十五の詩




 ユニスの命でリオピアに遣わされることになったイアンだが、ゲートを飛ぶ前にユニスが言った。

「イアン…」

「何だ」

「昨日リュールを見かけました。そのこともノールに伝えて欲しいのです」

「何だって?リュール様…それは本当か?」

「はい。リュールで間違いないと思います。面影と気が父上によく似ていたので。これは人に聴いたのですが、龍騎士としてリオピアとアレクメスを行き来しているらしく、今はアレクメスにいるそうです」

「…わかった」

「ノールへの手紙にも書きましたが、ノールにだけ話してください。むやみに騒ぎたてると宮廷の者がリュールにまで期待をかけるようになる。リュールにはリュールの意図があって動いているようなので」

「しかし、リュール様はお前さんに…」

 ユニスとリュールの間には確執があった。リュールがユニスに刃を差し向けたことがあるのだ。

 だが──。

「……。ただ敵意があるだけなら、私の前にあんな穏やかな姿では現れないでしょう」

 それでも兄弟であるのだろうか。ユニスはリュールを信じているようだった。

 ユニスの言うように、こんなふうに現れるというのは、リュールの方もユニスと同じようにある種の信頼をおいているということなのだろうか?

 その目で今のリュールの姿をはっきりと見たのだろう、ユニスの表情は澄んでいた。



     *



「──龍騎士としてリュール様が…」

 イアンの話を聴いて、ノールが深く考え込むような表情になった。

「俺も王子から少し話を聴いただけだし、王子もほんのわずかな時間しか会えなかったようだが」

「リオピアとアレクメスを行き来していると言っていましたね?」

「ああ」

「龍騎士で各国の要人同士の取引を扱う者がいます。そこまでの飛距離を跳ぶ龍騎士というのは限られている。もしかするとリュール様は──」