十五の詩




 翌朝、まだ暗いうちにユニスはノールへ宛てた手紙を持って、ある男のもとへ急いだ。

 ユニスにとっては幼い頃に言葉を交わした人間で、大戦を生き延びた数少ない者のひとりである。

「イアン」

 姿を見て、ユニスはイアンに駆け寄って行った。

「おお、ユニス」

 イアンの家はハリスモンドの都心部からは少しはずれたところにある。

 緑の生い茂る中に目立たぬように小屋をつくって住んでいるのは、出来るだけ人目につかない方がいいからだ。

 ユニスを大きな身体で抱きしめて、イアンは嬉しそうに笑った。

 木の香りがする小屋はユニスの好きな空間だった。

「朝も早くからすまんな。本当なら俺の方から出向くべきなんだが」

 そう言いながらスープをふるまってくれる。

「食べながらでいいから、聴いてくれ。お前さんを襲った輩のひとりはレガという男だ。その世界では腕の立つ男として知られているらしい。もっと探りを入れたら相当でかい奴が出てきそうなんだが…俺は魔法は使えんし、下手に動いて目をつけられるとまずい。一度お前さんに確認を取ってからがいいと思った」

「ありがとう。名前がわかっただけでも充分です。レガ…。調べてみます」

「スフィルウィング家のご令嬢と一緒だったなら、ご令嬢を介してスフィルウィング家の人間に聴いてみるのもいいかもしれないな。アレクメスの裏の組織のこともわかっている人間がいるかもしれん」

「──そうですね」

 スフィルウィング家の名が出てきてユニスは表情をかたくした。