ユニスからは「それはあてつけですか?」と、ご機嫌ななめの言葉が返ってきた。
ユリエはクスっと笑う。
「マスターがイレーネ様のご様子を直接伺えないので拗ねてらっしゃいます」
「え…拗ねてる?ユニスが?」
「はい。──マスター、悔しかったらこんな時イレーネ様に直接伺えるくらいになれるよう、精進なさいませ」
会話が可笑しい。このユリエの言い方では、さらにユニスの神経を逆撫でするのではないだろうか?
イレーネはユニスに悪いと思いつつ、笑ってしまった。
それでユリエがふっと安心した表情になる。
「──イレーネ様が笑ってくださいましたよ」
(あ…)
すごい。さすがは守護精霊だ。主のその時最も優先してほしいことをわかっているのだ。
イレーネは胸にあたたかいものが広がっていくのを感じた。
「ユリエ」
「はい」
「ユリエに話しかけたら、直接ユニスに聴こえる?」
「はい。今なら聴こえると思います」
「ユニス、大好き。ありがとう」
「──…」
ユリエまでその言葉に赤くなってしまう。
「イレーネ様…」
「何?」
「熱のせいですか?」
「え?何が?」
素のままらしい。これで熱がない時にも同じ言葉が言えたなら最強である。
「──…っ」
ユニスはイレーネのストレートにやられて、ベッドの上でぱたりと倒れた。
隣のベッドで横になりながら本を読んでいたヴィンセントが「大丈夫か?」と声をかける。
「──私が大丈夫ではありません」
「……?」
イレーネのところにユリエを遣わせて、ユリエと会話しているようだったが、今倒れたのは同調連鎖ではないらしい。
横になったまま、ユニスがヴィンセントを見る。眼差しが熱っぽい。
平常心ではない神童の表情を目の当たりにしてヴィンセントもドキリとしてしまった。
「おい…」
「……。眠れるわけないです」
言葉の返しようがない。ヴィンセントは本気で明日ユニスは学校に行けるんだろうかと心配になった。
*


