十五の詩




 本当はユニス自身がすぐにでもイレーネのもとに行きたいのだろうに──。

 ユリエは「わかりました」と答えた。

「私がイレーネ様をお守り致しますので、ご安心なさってください。マスターもご無理をなさらぬよう。今日は早くお休みくださいませ」

 ユリエはそう告げると、イレーネのもとへ飛んだ。





 窓から舞い込む夜風がいつになく優しい──。

 コト、と音がしてアメリアはテラスの方を見た。

 柔らかく揺れる、半透明のカーテンの向こうに広がるほのかな光──。

「──」

 アメリアは息をのんで、そこに釘付けになった。

 夜風にたなびく淡い紫の髪に白衣を纏った少女が、ふわりとした光に包まれ立っているのだ。

「お倒れになっている方がいらっしゃいますね?」

 少女が問いかける。

 アメリアは半分夢だろうかと思いながら「はい」と答えた。

 少女は音も立てずすっと部屋に入ってきた。

「あの──」

 この尋常ならざる現れ方は…。

 しかし不思議とその少女にアメリアは不信感を抱けずにいた。

 少女はアメリアのそばまで歩み寄ってくると一礼をした。

「私はイレーネ様を知る精霊です。イレーネ様がお倒れになっていることを感じとり、案じて参りました。どうか良くなるまでそばにいることをお許しを」

「──はい…」

 精霊と聞いてアメリアは少しほっとする。

 ベッドで眠っているイレーネの方を見ると、イレーネが話し声に気づいたのか目を開けた。

「アメリア…?」

「ああ…お嬢様」

「となりにいるのは…?」

 そういえば初めてイレーネと会話をした時は、この姿ではなかったのだ。

 ユリエはほほえんだ。

「リスの身体を借りていた者です、イレーネ様」

「リス…?──あ…」

 ユリエ?とイレーネが答えた。ユリエは「はい」と頷く。どうやらふたりは顔見知りのようだ。