十五の詩




「何か悔しい…」

「──」

「ずるいよ、ユーニー。どう見たって俺よりユーニーの方が持っているもん」

 ユニスはレナートの言葉を受け止めて、何も言えなかった。ヴィンセントがたしなめる。

「お前もユニスも条件は同じだろう。ユニスだってイレーネにとっていい条件ばかり揃えている人間というわけじゃない」

 そこでユニスが静かに打ち明けた。

「私はいずれ国に戻らなければならない身です。もしイレーネがスフィルウィング家やアレクメス王家にどうしても必要な人なら、私は身を引かなければなりません」

「え?ユーニーってアレクメス出身じゃないの?」

「…はい。リオピアです」

 ヴィンセントとレナートが、金髪碧眼のユニスを見た。ヴィンセントはユニスがアレクメス以外の出身であるとは知っていたが、リオピアだとは初めて聞くことだった。

 魔導の国リオピアの民は黒髪であるはずだ。だがユニスの髪の色は──。

 現リオピアの政を取り仕切っているのは、ノール・メイエである。それはヴィンセントもレナートもよく知っていることだ。

 ノールが宮廷にあがれたのは、第一王子であるユニスと金髪碧眼の容姿が同じであったからだということも。

「……。ユーニー、俺とヴィンセント、今もしかしてとんでもない身分の人と話してる?」

 レナートが尋ねた。ユニスは穏やかに答える。

「そんなことはないと思います」

 ヴィンセントは頬に手を添えて考え込んでいたが、「お前がリオピアの…」と低く呟いた。

「もしイレーネがユニスを選ぶとなると、イレーネの方がリオピア王家に入ることは免れないだろう。そうか…確かにアレクメス王家にとってもスフィルウィング家にとっても複雑なことにはなるな」

 リオピア王家ならスフィルウィング家としては格上の条件の家であるはずだ。

 だがスフィルウィング家との繋がりをかたくしたい家にとっては、あまり喜ばしいことではないだろう。