十五の詩




「ユーニーが帰って来ない…」

 ユニスの机の前に座り込み、ユニスのとったノートを見ながら数式を解いていたレナートは、あー!!と叫び、髪をわしゃわしゃと掻きむしった。

「何でこれ、こーなるの!?てか、ユーニー何でこんなの解けんの!?」

「うるさい」

 ヴィンセントはヴィンセントで、寮の日誌をつけている。学校で出る課題も生徒総長の仕事も片づけながら、そんなことまでしているヴィンセントには、レナートも頭が下がる。

「ヴィンセント、何か食べる?」

「ん?」

「いや、毎日お疲れかなーと思って」

 ヴィンセントが笑った。

「大丈夫だ。ありがとう」



 その時、部屋の扉が開きユニスが帰ってきた。



「──ただいま」

「お帰り。どうした?こんな遅くまで」

「私を頼って来てくれた方がいたので、宿の手配と今後住む所を見当していたらこんな時間に」

「わー…ユーニーも半端なくお疲れ?」

「はい。少し疲れました」

 ルナの宿先を決めて後、スフィルウィング家に連絡をとってイレーネに会い、それからルナの宿先に折り返し、明日の午後はスフィルウィング家に伺う予定を伝えたという流れである。

 もっともその流れとは別に、イレーネのことでもかなり心が揺れていたが。

「──ユーニー、ご飯食べた?」

「そういえば…まだです」

「ダメだよー。ちゃんと食べないと」

 明るくそう言ってくれるレナートに、ユニスはふわっと表情を崩す。

 それから何気ない調子でイレーネのとのことを話した。

「イレーネに好きだと伝えて来ました」

「イレーネに…。──え!?イレーネに!?」

「声が大きい」

 ヴィンセントは冷静だ。レナートはただ驚いて、まばたきしている。

「──それで?」

「家の事情を背負っている方なので…私情ではすぐには判断出来ないと」

「そっか…」

 レナートはやっぱり、と肩を落とした。

「いるよねえ、許婚者」