十五の詩




「──すみません」

 ユニスが小さく謝る。イレーネはぼんやりとした頭で「ううん」と答えた。

 ユニスにふれて、先刻まであった抱えていたものが軽くなった気がした。

「──好きになったら、そばにいられるの?」

 イレーネがシンプルに聞いた。

「私はユニスを好きになってもいいの?」

「──」

 ユニスがイレーネを「本当に?」というような目で見つめた。

 イレーネはほほえんだ。

「好きでいてもいいのなら好きでいる。でも──私のような人間は大変だよ、ユニス」

 それは許婚者や家の問題のことについても言っていたが、イレーネにとってはもっと深い部分での──心についてのことを言っていた。

「以前ユニスに私の心が見えるか訊いたよね。そのこと」

 ユニスはイレーネの手をとったが、その傷が深いということがわかっただけで何があったのかはわからなかった。

「──無理に心を開かなくてもいいです」

「……」

「それがあなたですから」

 誰にも言われたことのない言葉だった。

 孤児院が襲撃を受けて、何があったのかと過去を問いつめられて辛かったことが思い出されて、ふわりとイレーネの瞳から透明なものがこぼれ落ちた。

「──ありがとう…」





 それから、ユニスはノールからの手紙のことをイレーネに話してくれた。国に帰ったら結婚の問題があること。

 その時にリオピアについてきてくれるのであれば、ありえない話ではないと。

 イレーネは話を聴くと言った。

「お父様に話してみる。ユニスの家のことはどう話せばいい?」

「今度お会いする時に私からお話してみます」

「大丈夫?」

「ヴィンセントにも話をしておきます」

「そう」

 ユニスの言葉には揺るがない強さが見えた。イレーネも覚悟を決める。

「もし許されるのなら、私はユニスについて行く」