十五の詩




「フォーヌの人間がリオピアの人間に声をかけるというのは、それだけでも勇気が要るものだと思っています」

「……」

「そう仰られるというのはあなた自身が話しかける危険性を把握した上で、それでも話しかける以外になかったのかと思います。間違えたら、あなたはあらぬ嫌疑をかけられ、囚われの身になったかもしれない。それくらいの覚悟で話しかけられたのですよね?」

「はい」

「良からぬ謀をめぐらせる者なら、こんな無謀な賭けをするような真似は出来ません」

 ユニスは言い切った。ルナはそれを聞くと急にふわっと気がゆるんで、泣けてきそうになった。

「──良かった…。信じてもらえて。ありがとうございます」

「ルナ…。ひとつだけ」

「はい」

「あなたがその事を伝えに来てくれたことは、リオピアにとっては有利なことになります。リオピアがあなたの国に対して強行策に出る可能性もあるかもしれない。あなたはそれでもいいのですか?」

 ルナは国を出るまでに起こった出来事を想起して、頷いた。

「ええ。フォーヌは…国の根底からひっくり返るようなことでも起こらない限り、もうどうにもならない」

「……」

「母は言っていました。この国の上の者よりもフィノ様やノール様の方がフォーヌのことを考えていてくださっていると。私もそう思っています」

 ルナの表情は凛としていたが、その瞳の奥では悲しみがあふれそうになっているように見えた。

 今まで生まれ育った国の全部がどうしようもないと見切ってしまうのは、ひどくつらいことではないだろうか?

 ユニスはルナを安心させるように言った。

「ルナ…。出来るだけの手は打ちます。あなたのようなフォーヌの民の声が、もしかしたら多いのかもわかりません。でもリオピアにはフォーヌのそういった民の声はほとんど聴こえて来ないようです。何処かで情報が外へ流れないように操作されているのかもしれない」

「ええ。…そうだと思います」