十五の詩




 生まれ育ったフォーヌの文化とは違うハリスモンドの街は、何もかもがルナにはキラキラして見えた。

 ユニスがルナを連れて入った店は、静かで品のよい雰囲気の店だった。

「いらっしゃいませ。あら…今日はいかがされましたか?」

 面識があるのか、ショップの店員はユニスを見てにこやかな表情になった。

「こんにちは。彼女に合う服を見立ててもらいたいのですが」

「かしこまりました」

 こちらへどうぞ、と女性の店員に案内された。

「服の色やデザインにお好みはございますか?」

「え?」

 考えてはいなかったことを訊かれルナは戸惑った。

 どういう服が好きかと問われて答えられるほど、服について考えたことがなかったからである。

 ルナはユニスの方を振り返り、少し考えて答えた。

「並んで歩いても不自然ではない服を」

「かしこまりました。しばらくお待ちください」

 店員が選んだ中から最も合った服を選び、髪を直してもらった。

 靴で迷っていると、ユニスが「歩きやすいものがいいですよ」と何気なく言ってくれた。

 それで実際に幾つか履いて店内を歩いてみると、ユニスの言っていたことがよくわかった。

「アレクメスの女性はみんなこんな靴で歩いているんですか?」

 ルナがそう言うと店員とユニスは笑った。

「そういうわけではありません。──この靴はどうですか?」

 ユニスが選んでくれた靴に足を入れてみると、しっくりくる感じがした。

「あ…。歩きやすい。すごい。どうして私に合うものがわかったんですか?」

「たぶんそうだろうと」

「たぶん?」

 ユニスはほほえんだだけだった。ルナは深くは問わず「この靴にします」と言った。

 鏡に映る自分を見て、ルナは目を疑った。先ほどまで山野を駆けめぐっていた自分とは思えない。

 自分が変わったわけではないが変えられて行く魔法にでもかけられた気分だ。