十五の詩




 馴染む前に捕食されるのではないかという心配は拭えなかった。

「確かに、ユニス様とフィノ様が婚姻関係を結ぶということになれば、リオピアの魔導力を欲しがっているアレクメスの魔法学界の者たちも落ち着きましょう。フォーヌとの関係もアレクメスを通じて良好になるかもしれない。しかし、リオピアの民を性質を考えるとそう簡単にうまく事が運ぶとは思えない」

 リオピアの王としては優れた手腕を発揮したユリウスも、他国との関係には頭を悩ませていた。

 ノールは白皙の面差しに憂いを落とすと、イアンに聞いた。

「イアン殿はルマータの血を引いておられるのですよね?」

「ああ。リオピアの血は入っていないと思う」

「イアン殿の目からご覧になってリオピアの民をどう思われますか?」

「全体に繊細ではあるな…。傷つきやすい。俺自身が魔導の力というものをまったく持たないから、それだけでも感覚の違いはあるんだろうかとも思うが」

「イアン殿の仰られる通りです。言い方を換えればリオピアの民は喰われやすい。ユリウス様が最後までフォーヌと手を結ばなかったのもフォーヌからの侵略が絶えないためでした。フォーヌはリオピアに比べそう資源が豊かではない国です。援助をしてもそれを踏み台にまた次のものを要求してくる」

「……」

「フォーヌにはフォーヌの事情がありましょう。しかし善意だけで他国との関係を結ぶのは危険なことでもあるのです。足許を掬われる。侵略する能のない民であるのかと。アレクメスはフォーヌほどではないでしょうが──それでも全面的に信頼をおくというのは、抵抗はあります」

 大戦後のリオピアを建て直してきたノールの言葉には重みがあった。