十五の詩




「精霊…」

 話には聞いたことはあるが精霊を見るのは初めてのことだった。

 魔力の高い人間は気が清らかであるがゆえに精霊に愛でられるという。稀に守護精霊がいる人間がいると。

 その精霊は主人となりうる人の気に親和性があるため、主人によく似た容姿を持つのだとも。

「──すごいな。確かによく似ている。ユニスがそのまま精霊になったみたいだ」

 感心して素直な感想をもらすと、ユリエは「そうですか」と柔らかく応えた。

 うすむらさき色のさらさらとした長い髪がユリエが言葉を紡ぐごとにわずかに揺れる。

「本来精霊は一定した姿を持ちません。私はユニス様をマスターとしているため、この姿が最も形を取りやすいのです」

「そうなのか」

 ヴィンセントは興味をひかれて歩み寄り、ベッドの脇の椅子にかけた。

 眠っているユニスは熱があるようだった。ユニスは時々こういうことがある。

 高すぎる魔力を持つと身体に影響があるというが、それだろう。もっともユニスの場合は魔力だけに限ったことではなく、精神的なものも影響しているようにも思われたが。

「──さっきユニスにひどいことを言った」

 ヴィンセントはユニスを見ながら言った。ユリエは「はい」と穏やかに受けとめる。

「──怒らないのか?」

「私がですか?なぜ?」

「ユニスを傷つけたのに、守護精霊のあなたが怒っていないはずはないだろう」

「ヴィンセント様は大丈夫です」

 ユリエは何でもないことのように言った。

「本当にマスターに身の危険を及ぼすような傷つけ方をする人はそのようなことは仰いませんし、こういう穏やかな気を持ち合わせてはいらっしゃいません」

「──」

「マスターが傷つきやすいだけです。ヴィンセント様はそれを気にされるのかもしれませんが」

 ヴィンセントはやるせない気分になり、ため息をついた。