十五の詩




 例の大罪人を連れ、宮廷に戻ってきたユニスたちに、先刻までひそひそと囁き合っていた者たちは狼狽した。

「まさか、本当に探し当てたのか?」

「偽物では?」

 ユニスはちらりとその声に視線をやったが、何も言わず前を見た。傍らのノールが彼らに言った。

「不敬が過ぎるのでは?」

 大罪人はユニスの様子を見ていた。

 宮廷人からこういう者がいる中で、何も言わずにいるユニスが「来るべくして来た」器のように思えた。

 宮廷の外を知らぬ宮廷人たちはどれだけ考えがないのか。

(偽物だとか偽物ではないとか、そんなことを論じている場合ではないのに)

 突然変異で生まれ、不貞の子ではないかと叩かれた王子の方が、民のことを考え、胸を痛めているではないか。

 王子は自らの目で探し当てたのだ、と言いたかった。だが、大罪人である自分がそう口にすることで、王子の立場をかえって危うくする恐れもある。

 セイザーは黙っていた。

 にわかに場内が静かになった。王であるユリウス本人がセイザーの顔を見に来たのである。

 ユリウスはユニスとノール、ファスティーナの顔を見て、セイザーで目を止めた。

「…ユニス」

 ユリウスはセイザーを見たまま、ユニスに問いかけた。

「この者か?間違いないのか」

 ユニスは「はい」と返事をした。

「間違いありません」

 ユリウスはユニスの顔色を見て、かなり気力を消耗しているのを感じ取る。

「ノール」

「はい。何でしょうか」

「探し当てる以外に何かあったか。ユニスの気が消耗している。部屋へ連れて行け。休ませた方が良い」

「承知しました」

 ノールが「ユニス様」と傍らに立ち、声をかけると、ユニスの方からノールの手を取ってきた。

 それまで何か違う格の存在かのようであったユニスが、ふっと「その年頃の子供」に戻ったように感じて、ノールはほっとする。

「ユニス様、行きましょう。あとは王様にお任せしましょう」