「聞け。リオピアは包囲された」
脅しとも取れるようでいて、何処か懇願にも似た声が聞こえてきた。
「その髪、リオピアの王子か」
まったくの悪意そのものというわけではないそれは、肉声。生身の人間の声だ。
ユニスも攻撃的な気を緩め、問いかけた。
「そうです」
声は語った。
「リオピアはよい国だ。資源も豊かにある。が、それが昨今内部からおかしな動きが見られるのだ。王に伝えよ。内部からリオピアを裏切る民が出ても、王は民を信じるかと」
「内部から…」
ユニスは言葉の意味の全部をわかっているわけではなかったが、声の語ったニュアンスは感覚的に理解した。
父上が信じることが出来ないような民がいる。それでも信じることが出来るかと。
そう言っているのだ。
ユニスは「伝えます」と答えた。
「父上に伝えるのが私の務めなら」
声が聞こえなくなる。
「つけますか?」
従者のひとりがファスティーナに訊く。
ファスティーナは止めた。
「この人数で深追いは危険です。小さな糸口が大きなものにも繋がっているかもしれません」
ファスティーナの判断に、ノールも頷いた。


