十五の詩




 宮廷へと向かう道中、あたりが暗くなり始めた。

 ファスティーナは天空の面持ちから、その気の影響を受けてのものであるのかを確かめるように神経を張り巡らせていた。

 だが。

「ファスティーナ様、ユニス様は大丈夫です」

 ノールがファスティーナの胸中を察するように言った。

 ユニスはノールと手を繋いでいた。

 武官のバイロンは馬を連れており、ユニスに「馬にお乗りになりますか?」と聞いたのだが、ユニスは「ノールと歩く」と言って歩いていたのである。

 先ほどまで感じていた気の渦のようなものは、もう感じなくなっていたが、ユニスはそれが何だったのかと理由を考えていた。

 何か──歯車の合わない2つのものがある。

 微妙な均衡をとることによって成り立つものが、その双方が揺れている。

「ユニス様?」

 黙って静かに歩いているユニスを気遣うようにノールが声をかけると、ユニスはぽつりと呟いた。

「みんな生きていたいだけ…?」

 ユニスの言葉は端的ながら、はかりしれないものをも受け取っての言葉のようにも聞こえた。

 宮廷にあと幾ばくかで着くといった頃、先を行く付き人の歩みが止まった。

 ──つけられている。

 シュッッ!!

 ユニスの髪を掠めるように光線が飛んだ。

 攻撃魔法。

「ユニス!」

「ユニス様!」

「…っ!」

 ユニスは瞬時に反応し、地を蹴ると跳躍した。と、同時に、狙いすましたかのように無数の光線が襲ってきた。

 それを振り払うようにユニスの身体が閃光を放つ。

 ──パァァン!!

 光線が弾け飛び、火花が散った。

 呆然としたのは、それを見ていたユニスの周りの者達だ。

 ユニスは何かを見据えていた。眼光がもはや幼子のそれではない。本能がそうさせているのだ。

「何が目的か…」

 ユニスの気に畏怖するようにざわりと空気が動いた。ユニスは言い放つ。

「何が目的か!」

 緊迫しているのは向こうも同じであることは空気から伝わってきた。