十五の詩




 ユニスは小さな手にセイザーの手を取った。

 セイザーはまだ信じられない表情で、だが、しっかりと感じたユニスの手に、これは夢ではない、と確信する。

 ユニスたちがセイザーを連れ、歩き出す。呪いのような声が響き始めた。

「…ここから出るのか」

 出るのか出るのか出るのか。

 わあわあと大きくなり反響しはじめる。

 ユニスに向かって、ひとりの囚人が攻撃魔法を放った。ノールがそれを弾き返す。

「ユニス様!」

 ユニスはノールとさほど変わらない反応の速さで、跳び退いた。本能だ。

「ユニス」

 ファスティーナが庇護するようにユニスの手を掴もうとするが、ユニスは何故かその手をすり抜けてしまった。

「まだ…終わりじゃない」

 およそ、子供らしからぬ言葉の響きをさせるユニスに、ファスティーナは我が子ながら、その子の身に何が起こっているのか案じるような眼差しになる。

 ユニスは渦のような言葉の想念の中にいた。すがりつくようにまとわりついてくる人々の念。

(怨念?)

 何故こんなにどろどろしたものが渦巻いているのか。

 人の世界は。





 ユニスは牢獄の数少ない明かりのこぼれる方、天窓を見遣って、何故と問う。

 この声を響かせる命は何処だ。あふれているのか。何処からというのでもなく、大水のうねり、その轟のように。

 ユニスが今にも何処か遠くへ消えてしまいそうな錯覚を受けて、ノールは足を踏み出す。

「ユニス様」

 手を伸ばし、幼い主君に触れようとした。

 ノールの気遣う空気を感じ取ったユニスは、ノールが触れてくるのと同時に、ノールの面差しを見つめる。