十五の詩




 ドミナントとの話の後、ユリウスはノールを呼び寄せた。七歳のノールは宮中ではまだ見習いの身分であり、特に役職は与えられていなかった。

 しかし宮廷に上がって半年にもなると、もともと勤勉であるノールは大人の官吏にひけをとらないくらいの所作をものにするようになっていた。

 また、魔法能力の伸びの高さという点では目を見張るものがあった。飛空魔法を初めとする高等魔法や特殊魔法を行使するのを見て魔導士官長が恐れ入ったほどである。

 ユリウスがノールを呼び寄せたのは、ユニスと同様ノールの能力をも臣下に認めさせるいい機会になると思ったからだ。

「私をお召しとは…。何でしょうか、王様」

 呼び出されたノールは落ち着いた物腰でユリウスの意を伺った。ユリウスはしっかりした姿を見て、話し始める。

「先日、セイユ地区での紛争があったことは知っているか」

「はい、耳に致しております。魔導士狩りをする者の横行がひどく、これといった力を持たぬ住民がたくさん殺されたとか」

「そうだ。その時に大量虐殺を命じた罪で投獄された大罪人をユニスが庇っている」

「え…?ユニス様がですか?それはいったい…」

「罪なき者の祈りの声を聞いた、というのがユニスの言い分だ。ユニスはその者は無実であると言っているのだ。現に、その囚人に同調連鎖を起こし、異空間を跳んだ。しかしユニスの言うことを虚言ではないかと疑う者がいる。そこでお前に命を出す。ひとりは宮廷に連れてきたが、もうひとり無実であるかもしれない者が、まだ囚人の塔にいる。その者をユニスと探し出してここへ連れてくるのだ。そうすればお前もユニスも周りの者から認められよう」

 ノールは話の内容に驚いたが「承知致しました」と答えた。

 これを越えれば金髪碧眼の王子の名と自分の名を立てることが出来るかもしれない──その機会が与えられたことを、これまでにない緊張感をもって受け入れた。



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