十五の詩




「それは私が報告を受けた内容とはずいぶん違う。セイユ地区の者が、その方を家に帰れば妻に手をあげることをしていたり、フォーヌの者に加担して地区の利権を独占しようとしたのだと」

「だからおかしいんだよ。俺も何でそういう話になっているんだかわけがわからん。が、俺は無罪だと主張したところで、セイユ地区の人間がそう言っているんじゃ、俺の言うことなんて魔導士官長や武官長なんかが信じると思うか?」

「……。では、セイユ地区とフォーヌの人間との間で何か口裏合わせがあるかもしれないということか?」

「俺も自分の故郷を疑う気にはなれんが…。口裏合わせでもなければ、セイユ地区の人間が何かに騙されているのかもしれん。そういえば、俺と一緒に捕まった龍騎士の中にセイザーという奴がいるだろう。あいつは俺の後輩で、捕まった時に最初は抵抗していたはずだ。あいつも俺と同じで、この件に関して‘知らない’人間だったのかもしれない。何も言わなくなったのは拷問にかけられてあきらめたんだよ。恐らくな」

 それが本当の話なら──。ユリウスはどう判断していいのか考え込んだ。

 ドミナントが王子のことを口にする。

「上の王子はそういう感覚が強いと言っていたな。もしセイザーが‘何もしていない’なら、王子にはわかるか?」

「それは──ユニスの同調連鎖の感覚がどれだけ目覚めているかにもよるが」

「あの塔にどれだけの囚人がいると思う?王子はその中で俺の声を聞き分けたんだ。セイザーが俺と同じ思いをしたのだとしたら、近くまで行けば王子はそいつを見分けるんじゃないのか?そうすればお前さんの不届きな臣下も王子の能力を偽物だと蔑む真似なんぞ出来なくなる」

 ドミナントの言うことは至極理にかなっていた。

 ユニスはそれまでドミナントという囚人の名前すら知らなかったはずだ。もしユニスの能力が本物であるなら、ドミナントの仲間である龍騎士の声を聞き分けられるはず──。

「わかった。ユニスの能力を見るいい機会でもある。その方の言うようにしてみよう」



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