十五の詩




 ドミナントはその言葉に考え込んだ。本当にそれでいいのか迷っていたことをユリウスに指摘され、心が動いた。

 自分を必死に庇ってくれた王子を思い出す。龍騎士として、自分を捨ててまで守りたかったものは──己のことを守ってはくれなかった。

「俺が話さなければ、あの上の王子はどうなる?罪人に同調連鎖をして異空間を跳躍するくらいなら、結界を張った檻の中にでも閉じ込めて置かなければならなくなるんじゃないのか?」

 ユリウスは痛いところをつかれ肯定も否定もせず黙っていたが、やがて答えた。

「ユニスは幼いが感受する能力は優れている。ユニスの言っていることは偽りではないだろう。その方にはその方の守りたいものがあるだろうが、私は王だ。その方が話さないのならば今一度調査をさせるまで。放っておけばまた何か起こりかねないものを、放っておくわけにはゆかぬ」

「…そうか」

 ドミナントはため息をついた。

「セイユ地区の人間を取り調べても意味がない。俺ならカザファロン・セーグの身辺を調査する」

「カザファロン・セーグ?」

 ユリウスは魔導士官長や武官長の話では浮上してこなかった名前が出てきたことに、ドミナントの表情を窺う。

 セイユ地区というのは、先日大量虐殺が起こりドミナントが捕らえられた場所だ。セイユ地区の住民であるなら名が上がっているはずだが──。

「何者だ?その名前は初めて聞く」

 ドミナントはばつが悪そうに俯いた。

「俺の妻の…男かもしれん。セイユ地区の人間ではないことは確かだ」

「かもしれないとは?」

「その男と会ったりしているところを実際に見ちゃいないんだよ。俺の飛龍が‘奥様に他の男の匂いが’と言うんでな。俺は仕事柄家を空けることが多かったし、子供のことは任せっきりだった。俺が家に帰ってくる時はいい妻でいてくれたしな。家を壊さないような女でいてくれるんなら、それでもいいと思っていた」

 ユリウスは今までに聞いた話とはずいぶん違うドミナントの話に困惑した。