十五の詩




 一度入ったら二度とは外界には出られないという囚人の塔からドミナントは連れ出され、宮廷へ赴くことになった。

 それも王と差し向かいでの対話がゆるされるという異例の事態である。

 ドミナントに罪はないと立証するのは幼いユニスひとりで、事実の究明は困難を窮めた。

 たとえドミナントが口を開いたとしても、話すことがすべて事実であるとも言い難いからである。

「ユニス様はまだ幼い。本当に変な夢でも見たのではないか」

 ひそひそと陰口をたたき始める一部の宮廷官吏に、ユリエは毅然と返した。

「マスターが異空間を跳躍したのは事実。口を慎みなさい、無礼者!」

 異空間を跳んだのはそれが同調連鎖であったことを裏づけるものとなる。

 繋がっていなければ、そこに空間を渡る道となるものは起こり得ないからだ。



     *



「ユニスはその方を罪がないと言うが、どういうことなのだ?魔導士官長と武官長に聞けば、その方を現場で捕らえたと言うが」

 ドミナントと向き合ったユリウスは、ごく穏やかに尋ねた。

 ユニスの言うように罪のある人物であるなら、もっと別の表情をしているのではないかと思ったからだ。

 ドミナントはユリウスの真摯な表情に半ば弱ったように返した。

「俺ひとりが刑を受けることで、まるくおさまるような事があるとしたら、王は王の仕事をすりゃいいんじゃないのかい?俺は龍騎士だ。俺の言葉ひとつで生き死にが決まっちまう奴がいる。女も子供もな。生きるのに多少汚ねぇ手を使ったからって、俺はそいつらの生き方まで粛正しようとは思わん」

「──。本当にそれで事がまるくおさまるのか?仮にその方が誰かを庇っているとしたら、そこで正しく裁かれなかったことで、そのままにしておいた問題が大きくならないと、その方は言い切れるのか?」