十五の詩




「──打たないで」

 ユニスが小さくなったまま言葉を発した。ユリウスは安心させるように言う。

「大丈夫だ。打たない」

「違う…。打たないで」

 幼いユニスの語る言葉は何か内容が飛んでしまっているように聴こえた。

 ユリウスの胸に疑問が生じる。

(打つなというのは自分のことではないのか──?)

 ユリウスがユニスを連れ戻すと、女官や宮廷官吏たちはほっと胸をなで下ろした。

 ユリエも姿をとらぬ方がよいだろうと姿を消した。

「──申し訳ありません、王様」

 アイシャが深く頭を下げる。ユリウスは「気をつけよ」という言葉にとどめ、不問に付す。

「それよりユニスと話したいことがある。時間をとってもよいか」

 女官と宮廷官吏たちは顔を見合わせる。ユリウスが予定を変更してまでこう言い出すことはめずらしい。

 状況が状況だけに誰も異を唱えなかった。

「はい、王様」

 ユニスは眠りに落ちていた。ユリウスがユニスにわからぬよう眠りの魔法を行使したのである。



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