十五の詩




「そうか…可能性はなくはないな。王子があまり騒ぎたてないで欲しいと言っていたが、そんな極秘事項を預かる人間になっているとしたら、確かに騒ぎたてるのはまずい」

「イアン殿も龍騎士をなさっているのでは?」

「俺は今は大工をしている。龍騎士の仕事は極秘事項を扱うようなものではなくとも危険なことも多い。王子の命を直接受けるような立場にもなると、そう危険なことに身をおいてもいられん。必要に迫られれば龍には乗るが、それは王子かお前さんかのどちらかの命を受けた時だけだ」

「そうですか…」

「大工の仕事もいいぞ。剣に生きるのもいいが物を作るってのは嬉しいもんだ。身体を動かしてりゃ、腕も落ちねぇしな」

 明るく言い切るイアンにノールが嬉しそうな眼差しを向けた。

「時々、自分の力だけではそうは成り得なかった物事の采配というものに、不思議なものを覚えます。私がユリウス様に見出だされていなければ、イアン殿がユニス様に出逢っていなければ、私たちは今こうして語り合っていることはなかったかもしれない」

「王子か…」

 イアンが遠い目になる。

 出逢いは獄中にいる時だった。死刑囚としての運命を待つ身だったところにユニスが訪れた。

 幼いユニスは、ある日‘ある者の気’に反応し、宮廷からはかなりはずれたところにある、ひとつの塔を訪れる。

 それが囚人の塔だった。



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