“怜葉って家庭的で安らげる”――そう何かにつけて言っては、散々に結婚をチラつかせていたクセに。


結局のところ、“愛よりお金”を選ぶような男に填まるのは二度とコリゴリだ。


強いと信じて疑わなかった絆など、ある日を境にプツンといとも簡単に切れてしまうのだから。


そんな目に見えないモノを望んでいるより、今日を生きられるという保証の方が今の私には必要だもの。



もし、この決心をを打ち壊すであろう相手に自ら一歩でも近づけば、安住の地もろとも“無”になってしまうから。


願ったりだったノン・シュガーな関係に対し、必要以上の何かを求めることなどご法度である。


そうよ、着実にロボット男の見立てた“女”へと近づいていても、伴っての感情なんて要らないの――



悲しくて胸が痛んだり、反対にやけにドキドキしたりとか、今まで思わなかった寂しさとか。


まるで恋する乙女かと呆れる感情など私には金輪際不要なのだから、これらすべてを無視してしまおう。


疲れていた日に限って慰めて頂けたからといって、義務と利益で生きるロボット男を意識するのはお門違い。