左方で成行きを見守っていた悟くんに目を配れば、この結果を不満とばかりに眉根を寄せているけど。


行き場に困っていた私の肩をスッと引き寄せ、独りきりで不安定な身体を支えてくれた。



「――そういうコト、悪いな」

「…何言って、」


「俺たちに口を挟むより、その権利があるのか?」


冷淡な声色を響かせた悟くんによって、私の発言のリアルさが一層のこと増した。


それに劣る単調なロボット男の声音からとかく逃れたいと、悟くんのスーツを掴んで顔を伏せた私。



――どうして未だに偽者に固執するのか分からない。やはり、抱かれたことが間違いだった…。


それを察してくれていたのか。崩れそうな私をそっと支えながら、挨拶もそこそこに歩き始めたその時。



「――さ、悟くん、待って!」

数歩後ろから届いた甲高い声色。彼は私を伴ってピタリとその足を止め、声主である朱莉さんへ振り返った。


「どうしたの?」

「わ、私…、言わなきゃ…」


「――それを此処で言って、何か解決するの?
悪いけど第三者からしても、それは正しいとは思えない。…じゃあ、失礼するね」


2人の何かを秘めた口振りで狼狽しつつも、どうにも出来ない静寂には口出し無用であった。