しかしながら、どこか切なく笑っているロボット男はやはり卑怯だ。
アンバランスすぎる私の気持ちを、これ以上に困惑させてどうしたい?
「彗星ー、待ってたのよ!」
暫くのあいだ流れていた沈黙を、いともアッサリ切り裂くように。高らかで澄んだ声音が、息苦しい現実へと私をググッと引き寄せた。
ここでも予感的中――ロボット男のすぐ後ろで響いた、その特徴的な声を忘れるほどバカではない。
そして無防備だった彼の背中へとギュッと細い腕を回すから。あまりにイビツな状況が形成されたためか、辺りはいっそうのことシンと静まってしまう。
「朱莉…、離してくれないか」
不意さゆえか大きな溜め息をひとつ吐き出し、さらには呆れた声音を出していても。
それでも彼は、決して嫌がっていないことが分かる。
「そういう彗星こそ、言葉遣いには注意した方が良いわよ。
そう思うよね?怜葉さんだって、」
「え、ええ、」
「ほら――そのうち怜葉さんにも嫌われるわよ」
反応に困ったと伝わる態度で返す私に、いたく満足そうな表情を見せると。
そうして、ひょこっと顔を覗かせたまま窺って来る彼女はやはり可愛い。