きせき


『もしもし?』
「あ、うん」
『俺だけど。……航太だけど』
「うん」
『元気してた?』

緊張していたはずなのに、突然そんなことを聞いてくるから、脱力して少しだけ笑ってしまう。

「元気だよ」
『なら良かった』

まるで安心したように笑ったあなたの声が、耳元で聞こえる。

なんか、くすぐったいかも。

「宮崎航太は、元気だった?」
『俺? おー、元気だったよ』

そんな他愛もない会話なのに、心がポカポカしてくるから不思議。

思わず緩んでしまう頬に手を当てて、誤魔化すように、立ち止まったまま私を見上げるバウの頭をそっと撫でる。

ザワザワと風が吹いて、それに気を取られた私。

その耳に――……

『てかさ、今から美青サンに会いに行ってもいい?』

宮崎航太のそんな言葉が届いた。